2011年6月 個人質問

<質問テーマ>
●総合評価型入札制度の導入で地域に活性を
<通告質問>

 私はこれまで、入札に関する個人質問を2回させていただき、1回目は環境センター管理および整備の入札に関する件、2回目は随意契約のあり方と公開についての質問であり、とりわけ、随意契約の見直しについては、市政の透明性を高めるため、随意契約を行った予定価格130万円を超える建設工事や50万円を超える委託業務については、現在では、上半期・下半期の年2回に分けて、契約内容を市のホームページで公開されるようになり、市民への情報の公開はできてきており、透明感は担保されてきたと思います。
 しかし、本市の、最近の入札契約状況に関しては、市民や市内の事業者の方からも、苦情や質問があり、今回3回目となる質問をさせていただくこととなりました。

 さて、全国的な入札に関する情勢は、国及び地方公共団体ともに厳しい財政状況にあり、公共投資が減少する中では、企業間における価格競争の激化により、著しい低価格による入札が急増している状況です。これにより、手抜き工事の発生、下請業者や労働者へのしわ寄せ等による公共工事の品質の低下も懸念されています。
 一方、低価格とはいえスケールメリットを活かせる規模の大きい事業所は、まだ自治体の公共工事の入札等に参加できる場面は多いのですが、古くから地元で家内工業的に営業を営んできている零細企業の場合は、公共工事の入札の場にすら参加できないといった状況が、本市においても多く見られます。

 しかし、先般、商工会との懇談会の席で、メンバーの方から「建設工事に関わる予定価格が、歩切りされ落札予定価格と設計価格(積算価格)と明らかに相違している発注が多くあるので、公表単価に基づいた設定として欲しい。」との苦情に近い要望がありました。
 公共工事の発注にあたっては、透明性、客観性、妥当性の確保が求められており、積算基準類の一つである設計単価を公表することにより、受注者の適確な見積に資するとともに、その競争性、公平性に期すると思うのですが、なぜこのような苦情(要望)がでるのか、以下、質問致します。
(1)歩切りの実態はあるのか、ないのか。
(2)予定価格の根拠となる基準は何か。
(3)予定価格が実勢価格と大きくかけ離れるとして、不調となった入札の事例は近年あるか。
 以上、お答え下さい。

 また、ここ数年顕著になっていますが、「最低制限価格の事前公表」により、入札参加者全員が当局の提示した最低制限価格とぴったりと一致した価格を入札し、結果的に、くじによる落札となる事例が頻発しています。
 当然、「最低制限価格の事前公表」の導入は、入札の透明性の向上をめざしているのでしょうが、市民感覚では不透明感は払拭できません。近隣市や全国的に見ても「事前公表制度」を「事後公表」に見直す自治体も増えてきています。この制度について、当市の考えをお伺いします。

 最後に、入札という手続きは、予定価格(上限価格)と最低制限価格の間にあって、もっとも安い金額を提示したものを自動的に落札者として決めるという手続きであるため、自動落札方式とも呼ばれていますが、この方法の前提として、価格が絶対視されており、価格主義の入札制度ということができますが、談合がしやすかったり、一部の業者に偏ったりといったデリットもあります。
 それに対して、10年ほど前から「総合評価方式」と呼ばれる、価格以外の要素も含めた総合的な観点から判断して、契約相手を選択するという入札方式が地方自治法施行令の改正に伴い、導入する自治体が増えてきています。
 私たちは、購入する商品を価格のみで判断することがいかに不自然かということは、私たちの日常生活での買い物行動を思いおこしてみても理解できます。
 例えば、普段買い物をするとき、とにかく他の商品より1円でも安い商品を買いたいというより、価格はもちろん商品購入の重要な要素だけど、それ以外の価値、例えば耐久性や使いやすさ、デザインの良さといった点にも目を向け、複数の価値を総合的に判断して商品を選んでいます。そしてその結果、必ずしも選んだ商品が最安値の商品であったとは限りません。
 ご承知のとおり、こうした考え方を入札に取り入れたものが、「総合評価型入札」方式であり、すなわち、価格と価格以外のいくつかの要素を総合的に評価し、「価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとって最も有利なもの」を落札者とする入札方式、それが総合評価型入札であるといわれています。
 市議会としても、この件につきましては、先進地への視察にも行かせてもらいましたが、当市として今後、このような入札制度の導入について、どのようなお考えをもっておられるのかお伺いします。

<答弁:副市長>

 総合評価型入札制度の導入で地域に活性をのご質問にお答えします。
 1点目のご質問のうち1つ日の建設工事の予定価格設定につきましては、適正な設計積算による的確な予定価格の設定に努めており、いわゆる歩切りをしているということはありません。
 2つ目の予定価格の根拠となる基準につきましては、滋賀県土木交通部発行の土木工事標準積算基準書や実施設計積算単価表、財団法人建設物価調査会発行の建築コスト情報、建設物価などであり、資材時の最新の実勢価格を適切に反映したものとなっております。
 3つ日のご質問につきましては、予定価格と実勢価格との相違により、近年不調となった事例はありません。
 2点目のご質問の最低制限価格の事前公表から事後公表への見直しにつきましては、事前公表は入札の透明性が確保され、競争入札妨害防止に有効とされる−方で、くじによる受注により建設事業者の見積り努力が損なわれている面や、結果として、適正な競争性や工事品質の低下について懸念されることが指摘されています。近隣市の状況や職員倫理規定等の整備等を含め検討しております。
 3点目のご質問の総合評価方式につきましては、価格と品質が総合的に優れた者を選択することが出来るメリットがある一方で、応札する側にとって提出書類が増え、発注側としても事務手紙き等が増えるなど、双方に負担が増すデメリットもあります。
そのこともあり、特別簡易型総合評価方式も示されており、本市においても平成19年度に市道改良工事で試験的に実施いたしましたが、業者数の少ない本市にとっては、経営規模や施行夷績から受注が偏るおそれがあり、その後においては、実施していない状況にあります。今後、国、県、他市の状況を見極め、評価項目や導入の範囲について研究していきたいと考えています。

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