平成21年度一般会計・特別会計並びに公営企業会計の決算審査、及び財政健全化審査、経営健全化審査を終了しましたので、その結果について概要をご報告申し上げます。
お手元に、それぞれ決算毎に審査意見書として詳細に報告を致しておりますので、ご高配賜りますようお願いいたします。
まず、今議会に提案されております平成21年度の一般会計・特別会計決算につきましては、地方自治法第233条第2項の規定に基づき、去る6月未に市長から提出されました「各会計歳入歳出決算書」「財産調書」並びに「平成一21年度主要な施策の成果及び予算執行の実績報告書」を主として、栗東市監査基準に沿って実施いたしました。
また、平成21年度財政健全化審査、経営健全化審査につきましては、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項、及び同法第22条第1項の規定により、それぞれ算定の基礎となる事項を記載した書類により、審査を実施いたしました。
各課から提出されました資料に基づき、議会選出の太田利貞監査委員と共に、各部長・課長から説明を受け、質疑応答により実施したところであります。
審査に付された各会計の歳入歳出決算書及び決算付属書類は、何れも関係法令に準拠して作成され、決算計数は関係諸帳簿及び証拠書類等と照合の結果、適正に執行されているものと認めました。
また、事務事業の執行におきましては、財源確保と経常経費の節減に努めながら、執行されたものと認識しております。
しかし、一部においては、不用額も見られることから、適正な予算執行と共に、実情を精査した予算措置を願うものであります。
さて、一般会計及び各特別会計の決算状況でありますが、公営企業会計を除く歳入総額は478億3,639万7千円、歳出総額は477億7,083万5千円となり、前年度と比べ、歳入で28.6%の増、歳出で28%の増となっております。
歳入歳出差引き額は6,556万2千円で、翌年度繰越額3,230万2千円を差し引いた実質収支額は、3,326万円の黒字であります。
次に、財政構造ですが、まず財政力指数において、21年度は1.099で、前年度の1.085に比べ0.014ポイント上昇しております。
経常収支比率は93.4%で、前年度93.7%より0.3ポイント減少しています。
公債費比率は23.6%で、実質公債費比率は、前年度より1.9%悪化し、17.5%となっております。
一般会計及び特別会計の地方債残高は、年度当初の621億112万3千円が、年度途中の57億5,156万5千円の借入と、72億58万4千円の元金償還額を差引きして、14億4,901万9千円の減額となり、年度末では606億5,210万4千円となっております。
これを市民1人あたりに換算いたしますと94万153円となります、慎重かつ適切な調達を望むものであります。
次に歳入における収入未済額は、一般会計で6億4,834万7千円、収入率では97.7%と、前年度と比べ、0.7ポイント増加でありました。
特別会計におきましては、収入未済額が、国民健康保険税4億4,681万4千円、下水道使用料その他で7,489万円、計5億2,170万4千円となり、一般会計・特別会計の合計では前年度より3,396万3千円減の11億7,005万1千円の収入未済額が生じております。不納欠損に繋がらないよう更なる努力を要望いたします。また、不能欠損額においては一般会計は市税の1億6,399万5千円、特別会計は、4,812万円で、総額2億1,211万5千円となり前年度より5,102万4千円増の不納欠損処理をされています。
納税者である市民の信頼を損なわないよう、税収入並びに負担金、使用料等においても、公平・公正の原則から、厳正に対処されるよう強く要望するものであります。
次に、会計別の結果について報告いたします。
まず、一般会計の歳入でありますが、収入率は97.7%で、歳入金額では、前年度比較73億9,590万2千円、延び率では27.3ポイントの増加となっています。これは繰入金として、新幹線新駅建設等整備基金他、をはじめ市債、国庫支出金が前年対比で増加となっているためであります。
市税については、前年より9億1,897万3千円の減で、市債については31億37万3千円の増となり、一般会計の自主財源は68.4%となりました。
歳出におきましては、執行率94.6%で、前年度より0.6%増加の341億9,019万7千円となり、繰越明許費は16億2,939万3千円でありました。
歳出の性質別状況は、義務的経費が30.1%で、前年度の37.8%に比べ7.7ポイント減少しましたが、金額では1億2,806万2千円の増加で、その金額的な対比は、1.3%の義務的経費の増加となりました。
次に、特別会計10会計の全体の歳入133億9,418万7千円の内、一般会計よりの繰入金は、前年度比較3,605万2千円減で、18億88万7千円を占めております。
この中で、国民健康保険事業では、保険税徴収率が、滞納繰越分も含め75.8%と悪化しており収入未済額は年々増加しており、歳入歳出決算から差引不足額2億3,028万3千円は、翌年度繰上充用金で補填されておりますが、負担の公平性を期する上からも、徴収率の向上に一層の取組みを進めていただきたいと思います。
次に、地方自治法第241条第5項の規定により審査に付されました基金の運用状況につきましては、その日的に添って管理運営されていますが、年度末残高は前年度末より30億9,101万4千円減の11億6,499万1千円であり、堅実な管理運営を望むものであります。
また、地方公営企業法第30条第2項の規定により審査に付されました水道事業会計におきましては、節水型機器の普及、節水意識の高揚、工場の地下水使用割合の増加等により、給水需要が伸び悩んでいますが、企業債の新規借入も無く、有収率も向上しております。
事業収益11億4,094万6千円に対し、事業費用は11億1,847万2千円となり、当年度純利益は2,247万4千円となっておりますが、前年度より減収減益になっております。
この結果、当年度未処分利益剰余金は、3,300万円となり、議会の決算認定後、このうちから減債積立金へ200万円、翌年度繰越利益剰余金として3,100万円を内部留保される予定となっており、黒字決算を計上していますが、今後も有収率の向上と経費削減につながる努力と共に将来的な施設整備等事業計画を基に健全経営を期待するものであります。
次に、財政健全化審査においては、平成21年度の実質赤字比率及び連結実質赤字比率については、マイナス数値となり早期健全化基準を下回っておりますが、慎重な財政運営を求めるものであります。実質公債費比率は17.5%となっており、早期健全化基準を下回っておりますが、昨年度より1.9%悪化しており、地方債の許可団体となる18%に極めて近い数値であります。将来負担比率は309.3%となっており、早期健全化基準を下回っておりますが近い数値となっております。これらについては、新たな起債の抑制と市の財政運営に影響を及ぼす諸課題の慎重な対応により、財政健全化への方策を引き続き講じられることを強く望むものであります。
また、経営健全化審査による資金不足比率つきましては、公共下水道事業特別会計、農業集落排水事業特別会計、大津湖南都市計画事業栗東駅前土地区画整理事業特別会計、水道事業会計共に、資金不足は発生しておらず良好な状態にあると認められます。
今後も、更に厳しい経済状況が見込まれますが、平成21年の一般会計・特別会計・水道会計の決算を通じまして、特に次の点においては、今後充分な配慮のもとで取組みされますことを申し述べます。
(1)税収の確保はもとより、市税外収入における収入未済額の徴収強化の取組みは、負担の公平性を確保する意味からも重要であり、様々な債権についてその性格を整理し、債権管理の適正な取組みを一層強化するために、全庁的な債権管理の充実を図る体制づくりを要望する。
(2)更なる財政再構築プログラムに取組をされている中ではありますが、全事業の点検による新たな見直しにより、早期健全化団体への転落を未然に防ぐ、財政健全化の取組みに尚一層努力されたい。
(3)職員一人ひとりが、本市の置かれている財政状況を念頭におきながら、歳入歳出を一層厳しく見直し創意工夫により、最少の経費で最大の効果を挙げる不断の実践をもって、より一層の健全財政を目指し取組むことを期待するものである。
また、議員各位におかれましては、今後も財政健全化の施策について、特に注視していただきたく望むものであります。
最後に、4月から8月にかけて実施いたしました各種監査について、ご報告申し上げます。
例月出納検査におきましては、各会計とも計数的な誤りは認められておりません。
また、各種監査におきましても計画に基づき執行中であり、各部署とも限られた財源の中で業路を工夫しながら執行され、提出された諸帳簿・書類は、概ね適正に整備されておりました。
残る部署につきましても、22年度監査実施計画に従い順次実施してまいります。
以上、決算審査、その他の結果についてご報告申し上げましたが、今後も、財政健全化を最優先課題として取組まれますと共に、限られた財源を有効に活用され、住民福祉の更なる向上を期待して、私の監査報告と致します。